2023.10.06
雇止めとは?正当な理由や対処法についてわかりやすく解説します
派遣社員には契約期間が決まっているため、雇用期間が満了となったときは引き続き働くための「契約更新」の手続きが必要となります。しかし、働くことを希望していても派遣先の事情により更新されない「雇止め」にあうことも少なくありません。
この記事では、雇止めの判断基準や具体的な対処法についてご紹介します。
派遣社員に興味を持っている方は押さえておくべき内容ですので、参考にしてみてくださいね。
雇止めとは?
雇止め(やといどめ)とは、有期労働契約において雇用期間を更新せずに契約が終了することをいいます。
派遣の契約はもともと期間が定められた契約ですので、その期間が終わると契約も終了することが通常の流れです。しかし、繰り返し契約更新されていたり更新する話が出ていたりしたのにもかかわらず、突然契約が更新されなかったとなれば派遣社員は生活に困ってしまうでしょう。
そこで、平成24年の労働契約法の改正によって、不合理な雇止めを防ぐ「雇止め法理」が法定化されました。
雇止め法理とは、一定の要件を満たす場合には雇止めを「無効」とする法律上の制限です。これにより「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は雇止めが認められません。
雇止めと派遣切りの違い
派遣切りは、派遣先と派遣元という企業間での契約が打ち切りになることです。しかし、派遣される企業がなくなったことに伴い、派遣元と派遣社員間で雇用契約を終了となる場合もあります。
つまり、派遣切りが雇い止めのきっかけになることも起こり得ます。
雇止めと解雇の違い
雇止めと解雇は、労働者を辞めさせるタイミングに違いがあります。
雇止めは雇用期間が終了した際に更新されないことを指す一方で、解雇は契約途中で労働者を辞めさせることを意味します。
雇止めの判断基準
雇止めがあることで労働者は、「仕事がなくなってしまうかもしれない……」と常に不安な気持ちを抱えることになるでしょう。しかし、前述した通り不当な雇止めから労働者を守る「雇止め法理」があるため、企業は自由に雇止めすることはできません。
ここからは雇止めの判断基準を知るために、雇止めが「無効になるケース」と「認められるケース」について見ていきましょう。
雇止めが無効になるケース
雇止め法理によると、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は雇止めが認められないと定めています。
対象者となる人は、「過去に何度か更新されている」や「労働者が契約更新に合理的な期待を抱いている」などに当てはまっている必要があります。
状況や理由によって異なりますが、無効となるケースは次のようなものです。
【雇止めが無効になる可能性があるケースの例】
- 更新が何度も繰り返されていて契約期間の通算が長い
- 雇用契約書に更新の有無や判断基準について記載がない
- 契約更新について期待させているようなやりとりがある
- 契約更新時に面談がなく、形式的な更新となっている
- 業務内容が正社員と変わらない
- 雇用期間の定めが曖昧
雇止めが正当な理由と認められるケース
雇止めが無効になるケースがある一方で、労働者が更新を希望していても、「客観的に合理的な理由があり社会通念上相当」と判断される場合は認められるケースがあります。
たとえば、次のようなケースです。
【雇止めが認められる可能性があるケースの例】
- 契約満了時に更新しないことに合意している
- 担当していた業務が終了または中止になった
- 労働者側に、無断欠勤や違反行為があった
- 担当していた業務が一時的なものである
- 労働者の能力が不足している
- 事業が縮小された
雇止めは30日前までに通知される
厚生労働省によって定められている「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によると、1年以上継続雇用されているまたは、3回以上更新されて働いている労働者には契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならないとされています。
派遣社員は期間が定められた働き方ですので、契約更新しないことを直前に通知されたのでは、次の仕事を探せず生活に支障がでてしまいます。このようなルールは、契約満了時のトラブルを未然に防ぐ目的があります。
雇止めにあったらどうする?3つの対処法
もしも契約満了時に契約が更新されなかったときは、具体的にどうすればよいのでしょうか?
ここからは、雇止めにあったときの選択肢を3つご紹介します。
1:派遣会社に新しい派遣先を紹介してもらう
いままで働いていた派遣先との契約が切れたとしても、基本的に派遣会社から次の派遣先を紹介もらえます。
自分が希望する働き方や条件に合う派遣先を、探し始めましょう。
2:失業保険を受給する
雇止めの場合であっても、失業保険をもらうことは可能です。しかし、一定期間の雇用保険に加入が必要であるため、すべての派遣社員が受給できるわけではありません。
また、「会社都合退職」か「自己都合退職」により、失業手当の受給のタイミングが異なります。
3:専門機関に相談する
もしも不当な雇止めだと感じたときは、専門機関で判断してもらうと安心です。
雇止めにあったときは、「厚生労働省の総合労働センター」などで相談してみましょう。
雇止めの理由やいままでの経緯を説明できるように、契約に関するものは残しておくとよいでしょう。
まとめ
派遣社員は、自分の能力や専門性を活かせるよい働き方ですが、契約期間の制約は無視できない要素です。しかし、雇止めについて理解しておくことで不安を軽減し適切な対応ができるようになるでしょう。
雇止めがどのような状況で起こるのかをしっかり理解して、自身の働き方に活かせるようにしておくことが大切です。