2023.02.17
雑所得とは?税金計算方法や税率の違い&確定申告について
副業をしている人や印税を得ている人はよく聞く言葉かもしれませんが、雑所得とは所得税における課税所得の区分の一つです。確定申告に向けて雑所得の勉強をしたいと思うものの、税金と聞くと苦手意識を持ってしまう人も多いのではないでしょうか。
この記事では、「雑所得ってなに?」「税金の計算方法は?」「確定申告はすべき?」という疑問を解決するための情報を詳しくまとめています。
わかりやすい具体例を用いていますので、税金について疑問を抱えている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
雑所得とは?
そもそも、所得とは収入から必要経費を引いたものです。
つまり、「所得=収入-必要経費」ということになります。
所得には10種類のものがあり、「雑所得」とは、他の9つの所得に該当しない所得です。
いわゆる、その他という分類とも言えるでしょう。
利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・譲渡所得・山林所得・一時所得・雑所得
雑所得の例は、国民年金・厚生年金・確定給付企業年金などの「公的年金」や、ネットショップ運営・フリマアプリ・イラストレーターなどの「副業」、「FXでの収入」などが挙げられます。
他には、下記のようなものも該当します。
- 印税
- 講演料
- 仮想通貨での利益
- 税金の還付加算金
- 非営業用貸金の利子 など
雑所得と事業所得の違い
雑所得と似ているものに事業所得というものがあります。
雑所得と事業所得の違いは下記の通りです。
- 雑所得……不定期で一時的な収入であるもの
- 事業所得……継続・反復・収益性の高い収入を得ていると判断できるもの
たとえば、同じ「イラストレーター」という仕事でも不定期に行うものは雑所得、個人事業主やフリーランスが本業で行っている場合の報酬は事業所得に当たります。
また、会社に勤めていても、事業として継続・反復・収益性の高い収入を得ていると判断できる場合は、事業所得と認められることもあります。
不定期で一時的であるものは、雑所得に該当する可能性がありますので、事業所得との違いをよく把握しておきましょう。
雑所得の計算方法は?
そもそも、所得とは収入から必要経費を引いたものです。式にすると、「収入-必要経費=所得」となります。
必要経費とは、収入を得るために直接必要な費用のことで、雑所得であっても必要な経費を計上することができます。
たとえば、ハンドメイドの副業をしている場合、経費として認められやすいものは下記の通りです。
ハンドメイドの副業で経費として認められやすいもの |
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どこまでが経費になるのかは、はっきりとした線引きがされているわけではありません。
「収入を得るために直接必要な費用」というポイントは覚えておくとよいでしょう。
また、国税庁のホームページによると、雑所得の金額は下記の(1)から(3)を合計した金額と記載されています。
(1) 公的年金等
収入金額 – 公的年金等控除額 = 公的年金等の雑所得
(注)公的年金等控除額は、受給者の年齢、年金の収入金額に応じて定められています。
(2)業務に係るもの
総収入金額 – 必要経費 = 業務に係る雑所得
(注)業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいいます。
(3)(1)、(2)以外のもの
総収入金額 – 必要経費 = その他の雑所得
※出典:国税庁 「№1500 雑所得」
つまり、総収入金額が120万円で、必要経費が20万円だった場合は「120万-20万=100万」となり雑所得は100万円となります。
また、複数の雑所得がある場合は合算をする必要があります。
雑所得にかかる所得税率
雑所得には、所得金額が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税制度」が適用されます。
国税庁のホームページに載っている「所得税の速算表」で、課税される所得金額に対する所得税の金額を求めることができます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
たとえば、所得金額が350万の場合は次のような式になります。
「3,500,000円(所得金額)×20%(税率)-427,500円(控除額)=272,500円」
つまり、所得税の金額は272,500円です。
雑所得にかかる住民税に関する税率
住民税は、雑所得×10%で計算されます。
税率は一律ですので、所得金額の大きさには影響されません。
また、住民税は所得税の申告を行っていない場合に申告が必要になります。もしも、年間の雑所得の合計が20万円以下だとしても、住民税の申告は忘れないようにしましょう!
雑所得の源泉税率
報酬の場合は、支払金額に源泉税率をかけて計算します。
また、計算するときは、100万円を基準に税率が変わる「二段階税率」を用います。
二段階税率は、支払金額が100万円を超える場合に、100万円までは10.21%で、100万円を超える部分が20.42%の税率になります。
つまり、100万円以下の場合は、報酬に対して「税率10.21%」をかけ、100万円を超える部分には「税率20.42%」をかけます。
雑所得は確定申告をする必要があるの?
雑所得は、条件を満たすと税金が課されます。
原則、所得が20万円をこえる雑所得の場合は、確定申告が必要です。
基本的に所得が20万円以下の人や年末調整をしている人は、確定申告は必要ありません。しかし、所得が20万円を超えていなくても確定申告が必要な人もいます。
- 年収が2000万円を超えている人
- 医療費の控除を受ける人
- フリーランスや個人事業主
- 年末調整をしていない会社員 など
また、公的年金(雑所得)の確定申告は、年金受給者の確定申告の負担を軽減する「確定申告不要制度」があります。
確定申告不要制度は、一定の条件をみたした場合に適用されます。
雑所得を正しく理解して税金に強くなろう!
雑所得を得ている人にとっては、税率の計算や確定申告はとても重要なものです。
しかし、知らなければ経費計上をできず損をしてしまったり、確定申告を忘れてしまったりと、後から焦ってしまうケースがあるかもしれません。
雑所得に不安や疑問を抱えている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。